2026年03月14日
不動産登記申請について、弁護士が、登記権利者と登記義務者の双方を代理して申請した場合、その代理行為は、双方代理に該当し無効か。また、弁護士は弁護士法25条1号に違反するか。
1 結論
(1)登記申請行為は法律行為に該当しないこと、新たな利害関係が発生しないことから、民法108条法意に反せず、無効とならない。
(2)特段の事由のない限り、依頼者の信頼を裏切り、その利益を害さないことから、弁護士の信用品位を害さず、弁護士法25条1号に違反しない。
2 最高裁第二小法廷昭和43年3月8日判決(ウエストロー・文献番号1968WLJPCA03080004)
「登記申請行為は、国家機関たる登記所に対し一定内容の登記を要求する公法上の行為であつて、民法にいわゆる法律行為ではなく、また、すでに効力を発生した権利変動につき法定の公示を申請する行為であり、登記義務者にとつては義務の履行にすぎず、登記申請が代理人によつてなされる場合にも代理人によつて新たな利害関係が創造されるものではないのであるから、登記申請について、同一人が登記権利者、登記義務者双方の代理人となつても、民法一〇八条本文並びにその法意に違反するものではなく、双方代理のゆえをもつて無効となるものではないと解すべきであるし、また、登記申請当事者の一方から事件の依頼をうけ登記申請行為について代理権を付与せられた弁護士が、登記申請当事者の他方からも登記申請行為について代理権を付与せられて、登記申請につき前記のように双方代理をした場合でも、弁護士の当該行為は、特段の事由のないかぎり、依頼者の信頼を裏切り、その利益を害するものでもなく、弁護士の信用品位を涜すものともいえないから、弁護士法二五条一号に違反しないと解すべきである。」として、民法108条、弁護士法25条1号に違反しないとした。
すでに効力を発生した権利変動であり、新たな利害関係が創造されないことが利害相反の有無の実質的理由と考えられることから、他の事案(後見人の報酬付与を裁判所が決定し、後見人が被後見人の財産から報酬を受ける行為等)についても参考になると考えられる。