2026年03月11日
不正指令電磁的記録に関する罪(刑法第19章の2)とは?
1 条文(不正指令電磁的記録作成等)
(1) 刑法168条の2
1項 正当な理由がないのに、人の電子計算機における実行の用に 供する目的で、次に掲げる電磁的記録その他の記録を作成し、又は提供した者は、三年以下の拘禁刑又は五十万円以下の罰金に処する。
1号 人が電子計算機を使用するに際してその意図に沿うべき動作をさせず、又はその意図に反する動作をさせるべき不正な指令を与える電磁的記録
2号 前号に掲げるもののほか、同号の不正な指令を記述した電磁的記録その他の記録
2項 正当な理由がないのに、前項第一号に掲げる電磁的記録を人の電子計算機における実行の用に供した者も、同項と同様とする。
3項 前項の罪の未遂は、罰する。
(2) 保護法益
電子計算機のプログラムに対する社会一般の者の信頼
(3) 実行の用に供するとは?
不正指令電磁的記録を、電子計算機の使用者にこれを実行する意思がないのに実行されうる状態に置くこと
(4) 意図に沿うべき動作をさせず、又はその意図に反する動作(1号)とは?
「当該プログラムの機能の内容や機能に関する説明内容、想定される利用方法等を総合的に考慮して、その機能につき一般に認識すべきと考えられる基準として、規範的に判断される」(上階刑法第4版492頁)。
(5) 同号の不正な指令を記述した電磁的記録その他の記録(2号)とは?
1号に掲げるもの以外であって、同号にいう不正な指令を記述した電磁的記録その他の記録である。
(6) 作成とは?
作成とは、不正指令電磁的記録等を新たに記録媒体上に存在するに至らしめることをいう。
(7) 提供とは?
提供とは、不正指令電磁的記録等であることを認識した上で自己の支配下に移そうとする者に対し、これをその支配下に移して事実上利用し得る状態に置くことをいう。
(8) 2項について
浮気調査のため、配偶者の携帯電話に位置情報アプリをダウンロードした場合などが該当する。
2 条文(不正指令電磁的記録取得等)
(1) 刑法168条の3
正当な理由がないのに、前条第一項の目的で、同項各号に掲げる 電磁的記録その他の記録を取得し、又は保管した者は、二年以下の拘禁刑又は三十万円以下の罰金に処する。
(2) 取得したり、保管した者も処罰される点に注意が必要である。